今回のArt Sessionでは「抽象画」を制作していきます。
ですが、
「あまりにも取っ掛かりがなさすぎる!」
「どんなのができるのか想像もできない…」
と感じる方も多いのではと思います。
そこで、ここでは「こんなのが作れちゃうよ」という参考作品を、ご紹介いたします。
どれも、とても簡単に楽しくできる方法で制作していますので、ご覧いただいてSession当日に制作したいイメージを膨らませていただけたら嬉しいです(^^)
絵の下部には皆さんにも当日までにお願いする宿題
●テーマ
●テーマからイメージするカラー(地塗りの色)
●制作するときに取っ掛かりとなるワード
と簡単な制作の技法やポイントなどの解説を書きました。
読んでいただけたら制作のイメージもしやすいと思います☆
では、見ていきましょう!
テーマ「カタオモイ」
イメージの色…水色
取っ掛かりワード…重なり/いいこと/悪いこと/全部/優しさ/愛情/丸/光
しょっぱなから恋愛志向の強いテーマですが、これは私が好きな曲であるAimerさんの「カタオモイ」という楽曲から制作した作品です。
テーマを見つけるのが難しいなぁと感じる方には好きな曲や映画、本などを選ぶと、歌詞や音楽、情景からヒントを出すこともしやすいのでお勧めの方法です。
技法はステンシルという方法で丸い型をずらしながら、歯ブラシで様々な色の絵具を飛ばすスパッタリングという方法で色を重ねています。
制作の導き方としては…
愛情や優しさから丸という形を選びました。
時に明るく、時に暗く、色々な色が重なることでずっと続く二人の物語を。
そしてそれが総じて美しく優しい色になるといいなと色選びをしています。
光を表すのに粒々ができるスパッタリングの方法を使っています。
テーマ「Honesty」
イメージの色…ベージュ
取っ掛かりワード…まっすぐ/そうありたい/そうあれない/強さ/誠実さ/信頼/弱さ/希望
これは私の誕生花の花言葉が「誠実」だったので、そこからもう少し自分の気持ちに沿った「Honesty」というワードにテーマを置き換えて制作しました。
自分に縁のあるものからテーマを見つけるのも作品に親近感がわきますし、お勧めの方法です。
技法的には下地を作ったあとに線状に絵具を垂らすドリッピングという方法と手で少し抑えたりブラシで飛ばしたりして制作しています。
ちなみにこのドリッピング、ドレッシングを入れる容器でやっています(笑)
制作の導き方としては…
まっすぐな思いやそれが複雑に重なる様を表したくてドリッピングで線を重ねてみました。
覆い隠す、少し見えるという感じです。
見えるのは様々な本音であるように複雑な色になるといいなと思い作り進めました。
テーマ「偶然の夜」
イメージの色…グレー
取っ掛かりワード…失敗/偶然/必然/ゆらぎ/反射/夜/激しさ
こちらは気が付かないうちにたまたま撮れた写真がもとになっています。
抽象といっても、元のイメージは具体的なものから描き出すこともできます。
写真を「移す」のではなくご自身のイメージの層を通して解釈して描き出せばそれは立派な抽象となります。
絵画などをよく描かれる方など、偶然性より自分の思う形を少し具体的に描きたい方にはお勧めです(^^)
技法的には下地を出しながら色を重ねていくスカンブリング、絵具が乾く前にへらで擦るスクレイピング、乾いたブラシで画面を擦って荒らすドライブラシ…などで描いています。
制作の導き方としては…
写真を見ながら描いています。
写真に写っている形や色をより激しく、図形的、記号的に置き換えています。
テーマ「クリスマス」
イメージの色…緑
取っ掛かりワード…サンタ/楽しい/キラキラ/プレゼント/幸せ/夜/マライアキャリー/クリスマスツリー
一足早いですが、クリスマスです(笑)
イメージが世の中的に固まっているものも制作の際イメージを導きやすいテーマかなと思います。
一見、固定化していそうに思えるテーマも、必ず個性的な作品が生まれるので、自分のクリスマスが世界で一つのものだと実感できる良い機会になるかもしれません。
技法的には下地をクリスマスカラーで描いた後、マスキングテープを貼って色を塗り、またマスキングをして色を塗り…して、最後にテープをはがす技法をメインに最後にブラシで絵具をちょっと飛ばしたりしてます。
制作の導き方としては…
クリスマスの要素である「色」をメインに使っています。
「ツリー」「プレゼントのリボン」などを感じられる図形にマスキングを使ってます。
キラキラの金がランダムに出るように塗った後でキッチンペーパーで拭いたりして光の向こうにクリスマスがある感じにしました。
テーマ「春風」
イメージの色…黄緑
取っ掛かりワード…花束/光/瞬間/草原/断片/優しさ/風
季節は戻って春です。
今年、私に吹いた春風をイメージしました。
目を閉じて見えた景色を描いていきました。
個人的にはまだちょっと描き切れていないのですが…
技法的には下地を黄緑で塗った後、絵具を多めに垂らしてそれをストローでいろんな方向から吹き流しています。
そこに筆で白い絵具を投げつけています。
制作の導き方としては…
春の野原、春の花束、春の光を感じるような色を選びました。
優しく揺れる風や光を吹き流しでユラユラとつくりました。
瞬間を表すのに絵具を投げつけています。カスミソウのようにも見えます。
テーマ「I」
イメージの色…青
取っ掛かりワード…生年月日/ワード/混沌/好きなもの/私を構成するもの/あるがまま
直球で「自分」をテーマにしてみました。
自分の数字や自分を取り巻くものを直接キャンバスにぶつけて絵にしています。
技法的にはロールシャッハテストでおなじみのデカマルコニー(色を置いて紙を二つ折りにして開いた時に偶然できた図形から制作する方法)という方法を使って偶然の下地を作っています。ここではキャンバスに置く色選びを自分の生年月日でやっています。
例えば1978/05/30が誕生日だったら1は赤、9は白…のように色を決めて、この8つの数字の色をキャンバスの上に並べてクリアファイルで押しつぶして下地にするのです。予期できないけど縁のある下地の完成です。
その下地に厚めに色を置き、スポンジでマチエール(風合い・ボコボコ)をつけてその絵具が乾かないうちに爪楊枝で自分を取り巻くワードを削り出しています。
制作の導き方としては…
技法の部分で触れましたが、自分を表す数字やワードを使い偶然を用いながら絵にしていっています。
「描く」というと、色塗り的なニュアンスを感じられることも多いですが、こんな風に形にしていく方法もあります(^^)
テーマ「リバーサイド」
イメージの色…黄色
取っ掛かりワード…川沿いのマンションの窓/光/生活/規則性/均一/その奥にある均一じゃないもの/
川沿いの大きなマンションの夜の窓を見た時の感じをテーマにしました。
実際にある具体的なモデルをイメージしながら抽象的、心象的な作品に置き換えた作品です。
技法的には多めの絵具を垂らしてそれをストローで吹くう吹き流しで黄色地の下地を作り、マスキングテープで均一なように見えて、バラバラな窓を作り色を重ねて最後にマスキングテープをはがして制作しました。
制作の導き方としては…
窓の無機的な均一さを出しつつ、同時に、実際としてのその窓の向こうのそれぞれ違う生活や人生を感じて、大きさの違う窓としてマスキングテープをはりました。
暗い川沿いで大きなマンションはとてもきれいなのですが、その向こうにたくさんの人の生活を感じた時に、温かさも感じますし、もしかしたらそこに潜んでいるかもしてない絶望もあるのかもしれないなぁと思い、きっちりした中にも不安定な要素(色ムラや突飛な色)も入れてみました。
テーマ「雨」
イメージの色…クレヨンによる多色
取っ掛かりワード…優しい雨/包まれる/happy/雨に唄えば/リズム/
優しく、かわいらしい、楽しい雨をテーマにした作品です。
こちらは「描く」ということにすごく抵抗がある方にお勧めの「詩」を絵として描いた作品です。
技法的にはクレパスでランダムでカラフルな下地を作り、その上に黒い色をしっかり塗って爪楊枝で字を描く削り出しの方法を使っています。
制作の導き方としては…
下地にハッピーや優しさを感じる色をチョイスしてひたすらクレパスで塗ります。出る色は偶然に任せるので塗りつぶす順番や位置は気にしません。
名曲「雨に唄えば」の一節を書き込みます。
周りに雨や雨粒、楽しいキラキラや、水紋を書き込みました。
たぶん、ちょっとヘタッピというか、緩い方がかわいいかな?と考えたりしました(笑)
参考作品は以上です。
ただ、ここでご紹介した方法も、作品の雰囲気も、本当にごくごく一部のものです。
皆さんが制作される作品は無限大の可能性を持っています。
ご紹介した作品にとらわれることなく、きっかけとしてご参考いただければ幸いです。
また、事前にご質問などがございましたらどしどしお気軽にお問合せください☆
Session当日、皆様の心の冒険と素敵な作品の完成までの時間をご一緒できることを心から楽しみにしています(^^)
素敵な秋の一日になりますように♪
あかころ(akatin)
★おまけ★
作品を制作したものの、おうちで飾るイメージがいまいち沸かないなぁという方のために展示例を下に少しご紹介させていただきます(^^)
今回制作していただく作品はキャンバスサイズF0(18センチ×14センチ)のものとなります。
画像1枚目2枚目は、イケアで799円(税抜き)で帰る立体額に額装したものです。
キャンバスを入れられる額というと高額なものが多いのでわざわざ買うのは…となりがちな方にも気軽にお試しいただけます(^^)
ちなみにこの額は後ろに自立できるように足もついているので、棚の上において飾ったりすることも可能です♪
3枚目は壁に虫ピンを一本刺してキャンバスをそのままひっかけてあります。
軽いので、細いピンでも簡単に壁に掛けられます。
また、今回をきっかけに何枚か描いていただければ4枚目のように壁に何作品か構成することもできます。
5枚目は百円ショップで売っている小さなイーゼルに立てかけてあります。
ちょっとした台の上や机の上に気軽におけます。
素敵に飾るところ(プレゼントされる場合は飾ってもらえること)を想像して制作してみるのもいいかもしれないですね(^^)